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息吹 - 僕らの歳時記

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息吹(いぶき)

日本の古神道では、呼吸のことを「息吹」(いぶき)と呼び、吐くことを重視してきました。吐くことで穢れが清められて、神の気(神の息吹)を迎えいれられると考えているからです。

白川静氏の『字訓』で「息」という文字の語源をみると、「息」とは「生き」と同根の語で、「生命」や「いのち」といった意味を含む語とあります。また、「息」という字は、自らの心と書くように、呼吸が心や感情といったものと関連していることを示しています。実際、呼吸が心や精神に大きく影響することは、医学的にも解明されてきています。

健康法にはさまざまなものがありますが、中でも気功やヨーガなど呼吸法を取り入れたものも多くあります。その呼吸法に共通する点は、鼻呼吸で、吐く息の時間を吸う時間よりも長くし、吐く息を強く意識した呼吸であること。また、腹式呼吸でゆったりとした一定のリズムの中で行われていることです。

この呼吸法が健康によいのです

現代人は慢性的な酸素不足に陥っていると言われ、それがさまざまな生活習慣病の発症につながっているようです。脳で慢性の酸素不足があれば、身体は脳血流を増やそうと血圧を上げるか心拍数を増やすかで対応しようとします。こういう状態が続けば高血圧を引き起こします。こういった生活習慣病の予防には、有酸素運動が効果的です。健康維持のためには、息を止めた激しい運動よりも有酸素運動が有効なのです。

ゆっくりした深い呼吸は、酸素を多く取り込み、身体の生理機能を統括する自立神経のうち「副交感神経」を優位にさせ、リラックスさせる効果があります。

また、呼吸法は免疫力を高めるともいわれています。自立神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、「交感神経」は活動の神経と呼ばれ、緊張・興奮作用をもたらし、「副交感神経」は、呼吸・消化・循環を司り、気分をゆったりと落ち着かせリラックスさせます。この自立神経は免疫システムにも関係していて、どちらかに偏っていても免疫システムのバランスが崩れ、病気になりやすくなります。

新潟大学の安保徹教授によると、病気にならず長寿となるためには、「自分の活動エネルギーに見合った白血球数を保ち、リンパ球35%、顆粒球60%の比率を崩さないようにして、免疫力を落とさないこと」だと言います。そのためには、自立神経の交感神経と副交感神経のどちらかを過度に緊張させるような状態をつくらない、このバランスが重要」だと言います。

今、私たち現代人は、常に緊張を強いられて交感神経が優位の状態となっています。それが免疫力を低下させ、万病の元となっているといえます。安保教授によると、「副交感神経を刺激して免疫力をアップさせることが大切であり、その副交感神経を簡単に誘導する効果的な方法が、深呼吸なのです。」

さらに、ゆったりとした一定のリズムで呼吸することによって、セロトニンという神経伝達物質を分泌する神経が活性化し、精神の安定や心と身体に元気を与えることがわかってきました。東邦大学 有田秀穂教授による脳波計、心拍計、筋電図などを用いた実験では、腹式呼吸を行うと5分で脳波にα波が出始め、セロトニンの分泌が増えたことが確認されています。

このように、呼吸法は、リラックス効果のみならず、免疫力を高め、こころの安定、元気を与える効果があるようです。

作家の五木寛之さんは、その著書「気の発見」の中で、このように言っています。「とくにお坊さんは、なんで長生きなのかと考えるんですよ。それは、お経や祝詞を唱えるときの息づかいに秘密があるんじゃないかとにらんでいるんです。…長い間声を出しながら、スッと間を少なくして息を吸います。吐く息をコントロールしながらお経を唱えているんですね。」

有田教授も実験の際、お経を唱えているときの筋電図と呼吸法の筋電図を比べると、結構似ていることを発見しています。実験からは、座禅や読経は、セロトニン神経の働きを人並み以上に鍛えることにつながることがわかっています。

昔は、特に浄土真宗の家庭では、集落内で同じ寺の檀家が集まって行う「お講」のほか、毎日、朝夕には「おつとめ(勤行)」といい仏壇にお参りし読経をおこなう習慣がありました。毎日、読経をおこなうことで免疫力が高められる…。信じるものは救われる…ちょっと意味は違いますけど、読経の息づかいが、長寿につながるのでしょうか。そういえば、仏教王国と呼ばれるほど浄土真宗がひろがっている福井県は、平均寿命が男女とも全国第2位の健康長寿県なんです。そして、禅の修行道場 曹洞宗大本山永平寺も福井県に。

健康長寿のもと、呼吸法

でも今では、家庭で読経も少ないでしょうから、それに変わるもの、座禅やヨーガ、太極拳、スロ〜テンポのゆったりした歌をうたうこと、ウォーキングなどの有酸素運動も呼吸法につながります。呼吸法でリラックスと免疫力アップ!?を図りましょう。

呼吸のことを「息吹」(いぶき)と呼び、吐くことで穢れが清められて、神の気(神の息吹)を迎えいれられる… 吐く息を意識した腹式呼吸。呼吸を今一度見直してみることが大切ではないでしょうか。

参考文献等

  • 「呼吸を変えれば元気で長生き」打越 暁 洋泉社新書
  • 「病気にならない呼吸法」龍村 修 宝島新書
  • 「長生き免疫学」安保 徹 現代書林
  • 「セロトニン欠乏症」有田秀穂 生活人新書
  • 「気の発見」五木寛之 平凡社

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最終更新時間:2007年03月13日 08時59分04秒

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