トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ RSS ログイン

お水送り - 不思議なライン

僕らの歳時記 > お水送り

お水送り - 不思議なライン

不老と豊穣の理想郷

福井県は、平均寿命男女とも全国2位(平成12年都道府県簡易生命表より)の長寿県ですが、その福井県の若狭地方(若狭湾があるところです。)はその昔、不老と豊穣をもたらす理想郷としてのイメージがありました。それは、聖なる水の湧き出る所として知られていました。

3月12日に奈良東大寺二月堂で行われる修二会の「お水取り」では、後夜の勤行(ごんぎょう)の中ごろ(13日午前2時頃)、若狭井という「閼伽井(あかい)」から香水を汲み取り、本堂の仏前に供えるという神事が行われています。若狭井の香水は、諸病諸厄を四散させる霊力があるといわれ、この聖水は、若狭国遠敷郡(現在の福井県小浜市)の鵜の瀬と地下水脈で通じていて、鵜の瀬の水が二月堂の若狭井から湧出するとされています。それに先立って3月2日には、小浜市の神宮寺の住職により、東大寺二月堂へ聖水を送る神事「お水送り」が行われます。その起源については、次のように残されています。(「東大寺要録」より)

「東大寺二月堂が建立された時、修二会を催して全国の神々をお招きしましたが、若狭の遠敷明神は、魚釣りに夢中になり遅刻しました。そこで、そのお詫びに本尊へ供えるお香水を若狭から送りますと約束し、二月堂の下の岩を打つとたちまち岩が割れてそこから2羽の鵜が飛び立ち清水が湧き出しました。その湧き水が現在の「若狭井」ということです。」

このように、奈良と水脈がつながっているという信仰は、井原西鶴の「西鶴諸国ばなし」巻二の題三話「水脈の抜け道」にも「奈良の都へ若狭より水の通ひありと伝えし」としるされています。

若狭は若さ?

その他にも大和での「若水迎え」の習俗にもみられるようです。「若水迎え」とは、元旦のまだ暗いうちに、1年の幸福を招き、新たな生命力を呼び覚ます聖水とされる若水を井戸から汲む行事のことで、奈良の平城地区の押熊では、井戸にタチバナをいれて、「ワカサ、ワカサ」と唱えながら汲み上げ、また、田原地区では「ワカサノミズ ワイタカ ワカンカ ワイタ ワイタ」と唱えながら汲むということです。(ホントですか?)

「サ という音が水または水神、田の神をあらわす」という説もあり、「ワカサ」は若水の意味を含んでいるとも考えられます。

東大寺二月堂の修二会が春迎えの行事であるなら、若狭井から香水を汲む行事は若水迎えと対応し、香水が霊験を発揮するためには水自体の神聖性が必要だったため、水が若狭国から到来するとする必要があったのです。

古代官撰風土記である「若狭国風土記」に、国の名の由来が記されています。「昔この国に男女があって夫婦になり、ともに長生きして、人はその年齢を知らなかった。容貌の若いことは少年のようである。後に神となった。今の一の宮の神がこれである。それで若狭の国と称する」(一の宮=若狭彦・姫神社)

若狭が長寿(=永遠の生命を保障する常世の国)にまつわる国として、若狭井から汲まれる香水は、変若水(おちみず)の意味を含めて若狭国から届くとする必要があったのではないでしょうか? (変若水とは、月の月読命が持つという飲めば若返るという水。月の不死信仰にかかわる霊薬のひとつ)

この聖なる水が若狭から到来するという伝承は、京都の水薬師寺の池にも残っています。不思議なことに、若狭の鵜の瀬から京都、そして奈良、さらに伸ばすと熊野本宮へと、北から南へと直線上で結ばれるのです。この東経135度50分前後の直線ラインを水で結ばれた「ウォーターライン」ともひそかに呼ばれているようです。

若狭に伝わる人魚伝説

また、この不老不死が実現される国という観念は、人魚の肉を食べて八百年まで生きたという八百比丘尼伝説の舞台が若狭であることでも分かります。さらに、八百比丘尼が入定したと伝えられる小浜市の空印寺の縁起では、八百比丘尼の父は「秦道満(はたどうまん)」といわれ、陰陽師 安倍清明のライバル芦屋道満のことだといわれています。陰陽道の中でも不老不死は秘術中の秘術とされ、陰陽師 安倍清明の末裔が、応仁の乱の戦火をさけて若狭国の名田庄の地に移り住んだことも偶然ではないのかも知れません。

秦の始皇帝の時代、始皇帝は、中国の東方にあるという伝説の島の蓬莱山に不老不死の薬を求めて、「徐福」という名の男を派遣したといわれていて、その伝説の島(日本)に徐福が上陸したという地が、若狭の隣の丹後半島だとされているのも、何か不思議な感じがします。 このように、福井県の若狭は、古代日本の不死と豊穣をもたらす理想郷であったのです。

「お水送り」の当日、大護摩が焚かれ、白装束の僧や一般参加者らの大松明行列によって厳粛に行われます。奈良の「お水取り」には行ったことあるんですが、「お水取り」には、まだ行ったことありません。ぜひ一度行ってみたいものです。。。

参考文献等

  • 写真:「福井県観光写真素材集」
  • 「王の舞の民俗学的研究」橋本裕之 ひつじ書房他

鵜之瀬・遠敷川(福井県小浜市)付近の地図


僕らの歳時記 > お水送り

最終更新時間:2007年03月02日 08時57分25秒

by ふくいウェブ - 株式会社ふくいコミュニケーションズ - ふくいウェブコミュニケーションズ

ふくいウェブは2002年から福井のいろんな情報をお伝えしている総合サイトです!

[PR]留学会社に資料請求!